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あなたの事業所の塩素系溶剤は
 
適正に管理されていますか?
 
平成14年度有害大気汚染物質モニタリング調査結果から

2004年3月
クロロカーボン衛生協会
 

 大気汚染防止法に基づいて、地方公共団体では平成9年度から有害大気汚染物質の大気環境モニタリングを続けています。また、PRTR法に基づき、平成14年度から排出・移動量の実績が公表されています。塩素系有機溶剤〔トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン(塩化メチレン)〕もその対象となっており、クロロカーボン衛生協会では、毎年その結果に注目しております。


環境濃度の推移−環境濃度(平均)は年々下がっています−


平成9年度より継続して測定している継続測定地点における大気中の濃度の平均値は、図−1の通り、年々減少傾向にあります。その濃度レベルも環境基準値をはるかに下回っています。これは塩素系溶剤ユーザーの皆様による削減努力の賜物です。


測定地点


 環境省が公表した各都道府県別のモニタリング地点は、次の表−1ようになっています。平成14年度の測定地点数は、トリクロロエチレンが396、テトラクロロエチレンが390、ジクロロメタンが408もあります。この内、毎年測定が繰り返される「継続測定地点」はトリクロロエチレンが183、テトラクロロエチレンが192、ジクロロメタンが152であり、差引分は毎年測定場所が移動していることになります。この移動測定点の場所は、毎年地方自治体が使用・排出量等の情報に基づいて決定しています。


 


モニタリング調査結果


 表−2は平成14年度の塩素系有機溶剤に関する測定結果をまとめたものです。
 トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンはすべての測定地点で環境基準値よりずっと低いレベルにあるのですが、ジクロロメタンで351地点中の1地点において環境基準値を上回っていました。これは、モニタリング調査を開始して以来、初めてのことです。
 

〔環境省環境管理局 「平成14年度地方公共団体等における有害大気汚染物質モニタリング調査結果」より抜粋、表−1の地点数との差異は、表−1は測定頻度に関わる条件(月1回以上で1年間にわたって測定を実施)を満足しない地点を含むため〕
 

 もう少し細かく見てみますと、測定地点には(1)一般環境、(2)発生源周辺、(3)沿道の3種類があります。このうちユーザーの皆様に最も関係の深い、例えばジクロロメタンの「発生源周辺」について公表された結果の例を表−3に示しました。
 測定地点が極めて具体的で細かいことにご注目下さい。また、環境基準を超えた地点につきましては地方自治体からの指導により至急改善策を講じることになったようです。
 この表と同種のものがトリクロロエチレン、テトラクロロエチレンについても公表されています。
 


PRTR法との関係


 「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善に関する法律」(化学物質管理促進法:PRTR法)による平成15年度分の報告からは、届出の裾切りが年間取扱量1トン未満となります。大気環境汚染モニタリング調査の結果と同様に、PRTRの届出もすべて公表されます。PRTRの結果は都道府県別、物質別、業種別等でまとめられて公表されています。これらはすべて公開されたデータですから、塩素系溶剤排出量の多い事業所の周辺はモニタリングの測定地点の対象になる可能性があります
 つまり、諸々の施策により溶剤の使用状況は外部からも相当程度わかるようになってきたということです。
 


適正使用について−環境濃度をもっともっと下げるには−


 環境問題がますますクローズアップされて行く中で、他の溶剤には置き換え難い特徴を有する塩素

系溶剤を末永くご使用いただくためには、各種法規制に則った適正な使用と管理方法で責任を持って使用いただく必要があります。塩素系溶剤は、適正に使用していただければ、その製造或いは使用が禁止されることはありません。そうすれば、冒頭の図の環境濃度はもっと下がるはずです。
 適正に使用するために、貯蔵施設・場所及び貯蔵容器、作業施設並びに作業場所の点検管理要領を策定し、日常点検及び定期点検を行うようお願い致します。点検項目を定めるための参考として洗浄作業での適正使用・管理チェック項目を以下に示しますが、各取扱事業所の作業内容等実状に応じ、使用装置等の説明書を参考にして点検項目を定める必要があります。
 


クロロカーボン衛生協会からのお願い


 クロロカーボン衛生協会は、1985年(昭和60年)10月に設立されて以来、塩素系溶剤をはじめとするクロロカーボンの適正な使用方法及び管理について、関係者への周知徹底に努めてきました。当協会は、今後も塩素系溶剤が市民社会において正当に評価され、有用な産業資材として認知されることを願っております。
 また、クロロカーボン衛生協会では、塩素系溶剤について、その特性、適切な使用設備と適正な使用・管理、法規制、健康影響等に対する正しい理解のもとで環境に配慮することにより、今後ともご使用いただくことを目的に、2002年9月に小冊子「使えるんです塩素系溶剤−適正管理で優等生−」を作成・配布しております。是非ご参照下さい。

 環境を汚さず、適正に管理することで、塩素系溶剤の優れた特性をいつまでも活かしていただくようお願い致します。

 なお、塩素系溶剤の適正使用等については以下の資料があります。

 

(1)
(2)
 
(3)
(4)
(5)
 
 
(6)
 

クロロカーボン衛生協会編
クロロカーボン衛生協会編
 
クロロカーボン衛生協会編
クロロカーボン衛生協会編
中小企業事業団編
 
 
日本産業洗浄協議会編

クロロカーボン適正使用ハンドブック(2000)
ジクロロメタン(塩化メチレン)による健康障害を防止するための指針について (2002)
使えるんです塩素系溶剤 −適正管理で優等生−(2002)
土壌汚染対策法と塩素系溶剤(2003)
金属洗浄における塩素系有機溶剤の自主管理計画達成マニュアル −大気汚染防止法の一部改正に基づいて− (1998)
よくわかる洗浄のPRTR対策 排出量、移動量の算出マニュアル (2001、日刊工業新聞社刊)

 

表−4 塩素系溶剤の適正使用・管理チェック項目

1. 関係法令対応関係

 

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11)

塩素系溶剤の使用設備は労働安全衛生法等に適合しているか。
有機溶剤等使用の注意事項、有機溶剤作業主任者の職務及び氏名、有機溶剤等の区分の表示をしているか(労働安全衛生法 有機溶剤中毒予防規則)。
溶剤の取扱時、作業員の蒸気曝露防止対策は充分か。
化審法(環境汚染防止措置に係る技術上の指針)、大気汚染防止法(指定物質抑制基準)、廃棄物処理法(特別管理産業廃棄物の処理)、PRTR法(排出量、移動量の把握)等の対応を行っているか。
地下浸透対策は行っているか(水質汚濁防止法 土壌汚染対策法)。
排水基準に適合しているか(水質汚濁防止法 排水基準)。
局所排気と全体換気のバランスは適切か。
作業環境(労働安全衛生法)、排出口濃度(大気汚染防止法)は適正に管理されているか。
排気ダクトの排気口先端は基準を満たしているか。
防毒マスクの吸収缶は有効期間中に交換されているか。
保護具は必要数が規定の場所に保管されているか。

2. 設備対応関係

 

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5)
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13)
14)

塩素系溶剤を取り扱う場所は、床面に地下浸透防止措置(コンクリート等の材質、ステンレス鋼製受け皿)をとっているか。
洗浄設備の密閉化を図っているか。
洗浄設備の排気部分の構造は適切か。
局所排気と全体換気の区別は明確になっているか。
洗浄槽のフリーボード比は充分か。
水分離器は適切に作動しているか。また、分離水は適切に処理して排水しているか。
洗浄槽の冷却水の水温、流量が適切で、冷却能力は充分か。
多重的安全対策となっているか。
さびの発生防止対策を行っているか。
洗浄作業場とほかの作業場所の間は区画壁等で隔離しているか。
排気ダクトはあるか。
排気ダクトの吸込口は適切か。(フードはあるか、開口位置は高すぎないか等)
漏洩事故、地震、火災、その他の事故のために、防液堤、排液口等の対応策があるか。
塩素系溶剤の装置への供給、廃液の払出等の取扱ポンプ、配管は密閉化しているか。

3. 管理関係

 

1)
2)
3)
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5)
6)
7)
 
8)
9)
10)
11)

大気への排出を抑制するために、排出抑制自主管理計画を作成したか。
塩素系溶剤の適正使用マニュアル、化学物質等安全データシート(MSDS)等の参考資料を保有しているか。
溶剤回収装置の追加により溶剤消費量の削減は可能か。
緊急時の対策が、要領として策定され、作業員に周知しているか。
停電、冷却水停止、漏洩、過熱、制御系故障等に対する対策は多重になっているか。
従業員の控所が溶剤蒸気を吸引しないように正圧になっているか。
塩素系溶剤を含む廃液は蒸留回収してリサイクルしているか。また、回収率の向上により廃棄物量の削減を図っているか。
被洗浄物による溶剤の持ち出し量の低減を考慮しているか。
排水処理装置は正常に稼働しているか。
排水・排出ガス、作業環境等の簡易分析により自主管理を行っているか。
工場の土壌・地下水の汚染状況を把握しているか(環境基本法 土壌汚染対策法)。

〔中小企業事業団 「金属洗浄における塩素系有機溶剤の自主管理達成マニュアル−大気汚染防止法の一部改正について」(平成10年1月)より一部修正して引用〕

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